新たに公表した論文とその概要
成人IPD:各年の累積症例数(A)と月別症例数の推移(B):COVID-19の影響(2017–2022年、n=1,722) NEW
- 成人IPD発生数の鈍化は2020年2月から始まっていた。
- 2020〜2022年には、2017〜2019年に見られた季節的な症例数増加が消失した。
7) Tamura K, et al. Unveiling the role of preceding seasonal influenza in the development of bacteremic pneumococcal pneumonia in older adults before the COVID-19 pandemic in Japan. Int J Infect Dis (in press). April 2024.
COVID-19パンデミック前(2017~19年)と期間中(2020~22年)の成人IPD患者の臨床像を比較したところ、パンデミック期間中の65歳以上のIPD患者において菌血症を伴う肺炎の割合が減少した(67%→56%)(下右図)。パンデミック前のインフルエンザ先行感染の有無による菌血症を伴う肺炎の割合を比較したところ、インフルエンザ先行感染のある患者では全年齢層で菌血症を伴う肺炎の割合(84~87%)は、先行感染なしと比較して(45%~66%)、有意に高かった。また、インフルエンザ先行感染ありの65歳以上のIPD患者の致命率(28.3%)は、先行感染なし (15%)と比較し有意に高かった。さらに、季節性インフルエンザ感染後のIPD患者では男性、加齢が死亡リスクとなることが明らかになった。
研究班データ
2014/1-2023/12 現在成人 IPD 由来肺炎球菌の血清型分布 (n=2,671) NEW
成人髄膜炎由来肺炎球菌の PCG 感受性 (n=364;2014〜2023年) NEW
成人IPDの年齢群別、ワクチン血清型別罹患率(COVID-19の影響)(2017–2023年、n=1,952) NEW
- 2020年のCOVID-19流行後に、15–64歳、65歳以上のいずれの年齢群でも罹患率が60%減少した。
- この減少はCOVID-19対策としての医薬品によらない介入によると考えられる。
- 2023年の65歳以上のIPD罹患率の再増加は感染対策の緩和に起因する可能性が考えられる。